利根別自然休養林概要

岩見沢市街地の南東に位置し、標高30〜164mの丘陵地で、800haを超

える面積の中に自然休養林を含む森林が約半分を占めています。林内には縦

横に遊歩道が交叉し、南側周辺部には岩見沢公園およびキャンプ場、三井グリ

ーンランド遊園地(冬季はスキー場)などのほか、緑のセンター、岩見沢郷土科

学館、野外音楽堂などの建物もあります。また、東端にも萩の山市民スキー場

があり、市民の憩いの場となっています。道央自動車道に面した入り口近くには

利根別原生林ウォーキングセンターがあり、自然休養林を訪れる人々に情報を

提供しています。森の散策にはここに立ち寄って、パンフレットを手にしてから始

めるといいでしょう。入り口近くにはこの森のシンボル的存在の大正池があります。

利根別自然休養林は、「大正池」の呼び名で岩見沢市民に親しまれています。

 大正池は、名前の通り、大正4年(1915)に造られた灌漑用の溜め池です。

自然休養林の入り口近くにある石碑をみると、沢昇平・八郎治父子が大正池を

造ったことがわかります。

東山自然公園発祥記念碑

(碑文)二翁を讃える献詩

 ときに自然は 人間の意思を超える

 しかし、人間は自然の上に立って

 おのれの事業を完遂する

 その人、沢昇平翁の霊は

 この満々たる貯水の上に豊かに眠っている

 翁の志を継ぐ人 八郎治氏

 父子二代の心血は注いで

 この水をからすことなきために

 原生林に加えて鬱蒼たる

 二代の愛林思想は

 いまや四時を色どる遊歩の憩いとなり

 山谷にかがやく水郷をいだいて

 いたずらに鳴禽の喉をいざなっている

 いっさい鬱情をはらって

 しずかに拓魂の歴史を踏みやれば

 野鴨の羽搏ききびしく

 宝石の水面をきって飛び立つ永遠の方へ

    昭和36年11月19日

         岩見沢市長 川村芳次書

 利根別自然休養林の植生は、北海道の冷温帯の落葉広葉樹林として、平均的な

植物が見られます。大正池付近ではミズナラを主とし、アサダ、シナノキなども多い

です。さらに、奥に入るとサワシバも目立ち、南東部の尾根ではカシワが多いです。

低木ではハイイヌガヤ、エゾユズリハなど日本海側の積雪地に見られる特徴があり、

林床の草本類ではクマイザサを優先種とする地域が大半を占めています。