衣笠 杣のインターネット詩集

     菜の花

    菜の花は、夜でも黄色
 
    暗い闇の中に
     一瞬浮かびあがった菜の花
    ヘッドライトの光に
      眠りをさまされ震えている
 
    通勤途中の小さな空き地
     朝は、気づかなかった畑の
    小さな命
     家路をたどる足音を
    聞くでもなく
 
    「菜の花だ」
 
    立ち止ることもなく
     過ぎ行く時の中に
    ふっと、少年の日の
     無心な光景が浮かんでくる
 
    菜の花は、夜でも黄色
 
    いまは、アスファルトに
     白線の引かれた駐車場
    あの少年の日とともに
     残像の中だけに
 
    菜の花は、夜でも黄色

                平成13年3月


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